貰ったものを返さないといけないの?

貰ったものを返さないといけないの?

 

彼氏と別れ話したらプレゼントしたものを返せって言われた

やっぱり返さないといけないの?

こんにちは、行政書士福岡法務です。私は1人でふらふらと居酒屋にいってお酒を飲むのが好きなのですが昨日は酔っ払っている女性が大きな声で友達と愚痴っているのがずっと聞こえていました。どうもその女性は彼氏と別れたらしく、今までプレゼントしてもらったバッグやアクセサリー類などを全て返せと言われたそうです。ネットなどでもたまに目にしますが別れる際に男性が女性に対して今までのデート代やプレゼントした物を返せと言うことはあるみたいですね。う~ん、ダサイ!笑

 

結論を先に言うと、このような事を彼氏から言われたとしても貰った側は返さなくていいと法律で決まっています。民法550条に、書面によらない贈与は、各当事者が撤回することができる。ただし、履行の終わった部分については、この限りでないと定められていますので返さなくていいという結論になります。民法が改正されれば撤回から解除というふうに表現が変わりますが基本的な部分が大きく変わるという訳ではありませんので、もらったものは返さなくていいという結論から変わりはありません。ということで、居酒屋で愚痴っていた女性は返す必要はないということですね。逆に、彼氏から、今度バッグを買ってあげると言われたとしても「やっぱりや~めた。」と気持ちが変われば、それはそれで法的にも買わなくていいということになります。法律の前に信頼関係がグチャグチャになると思いますが。笑

 

これがカップルではなく夫婦だったらどうでしょうか?民法754条には、夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできないと定められています。よって、夫婦間の贈与は返してと言われれば返さなくてはいけないということになります。ただし、夫婦関係が破綻しているような状況であれば、カップルのときと同様に返さなくてもいいとなっています。あくまでも夫婦間での契約が取り消すことができるのは円満夫婦のみということです。

 

履行が終わってないなら取り消せる

履行の終わった部分については、この限りではないと民法550条の但し書きに書いてありますが、履行の終わった部分というのは具体的にどのようなときでしょうか?動産(バッグやアクセサリー等)であれば引渡し、不動産の場合は引渡し又は登記のいずれかがあれば履行を終えた部分となります。なので、100万円を贈与する約束をしていて80万円を既に引渡しているのであれば、20万円については撤回でき、80万円については返してもらうことはできないということになります。

 

例外的な贈与契約もある

上でも書いている通り書面によらない贈与であれば各当事者が撤回する事ができます。贈与する側が「やっぱりあげない」とも言えますし、贈与される側が「やっぱり要らない」とも言えるということです。これが書面による贈与契約であればそうではありません。この書面も最高裁で「書面に贈与がされたことを確実に看取しうる程度の記載があれば足りる」との判決があります。この要件を満たした書面を作成しておけば「やっぱりあ~げない」ということは通用しなくなります。

 

他にも負担付贈与というものがあります。例えば「100円あげるから肩たたきをしてくれ。」このようなものが負担付贈与というものになります。100円あげたのに肩たたきしてくれないのであれば、契約解除をし100円を返してもらうことができます。例外的なことが起こることは少ないでしょうが、法律にこんなことまで決まってるのかと少し面白くもあります。

 

贈与契約は身近な出来事

お酒を飲みつつ女性の愚痴が聞こえていたのがキッカケでこのブログを書いていますが、贈与契約というものはとても身近なものです。誕生日にプレゼントを渡したり、記念日にプレゼントを贈ったりなど「贈与契約」というような堅苦しい言葉でなく自然とやっていることなのです。こういった知識を少しでも持っていれば自信をもって相手方と話し合いもできるようになります。かといって「書面によらない贈与契約だから前言ったプレゼントはなしね~」と合法でも信頼をなくすような行為はやめましょう!