離婚する時は公正証書を作成しよう

離婚する時は公正証書を作成しよう

 

離婚する時は公正証書を作ろう

協議離婚する場合、夫婦で話し合った内容を公正証書にする場合があります。公正証書とは、公文書として信用力がありますので、離婚後のトラブルにも、公正証書が役に立ちます。例えば、夫の浮気で離婚をした場合、慰謝料を貰う約束をしているかもしれません。一括で支払ってくれるのが一番いいですが、10回分割で支払う場合、いずれかの時期で滞ってしまうかもしれませんよね。その時に、執行認諾文言付きの公正証書を作成しておけば、裁判を経由せずに強制執行の手続きをとることが出来るのです。

公正証書離婚のメリット・デメリット

公正証書離婚を利用するメリットは、何よりも裁判所経由せずに強制執行が出来る事と、高い証拠力があります。公正証書は公証役場という国の機関が作成する為に強力な証明書となるのです。デメリットは、夫婦で話し合った内容が法的に適正かどうか分らないため、何度も公証人に相談をしなければならないという点と、公正証書の受け取りは郵送ではしてくれないという点が挙げられます。

 

離婚の公正証書を作成する方法と手順

協議離婚を初めてする人がほとんどの中、公正証書の作成方法を熟知している人はいません。そもそも、取っ掛かりからどうしたらいいのか分からないため戸惑ってしまうでしょう。ここでは、離婚の公正証書を作成するときにの手順や方法などを説明したいと思います。また、慎重に作成したい、十分に時間がとれないという方は、専門家から話を聞いて作成する方法もあります。何にせよ夫婦で話し合わなければならない事もあるので、包括的に認識しておく必要があります。

 

①夫婦で条件の取り決め

まずは、どのような条件で離婚をするのか夫婦で話し合う必要があります。詳しくは後述しますが、養育費や財産分与など具体的に取り決めをします。よくある勘違いとして、夫婦の一方のみで公正証書が作成できるというものです。当たり前ですが、自分だけで内容を決めて、自分にいいような公正証書を勝手に作成する事はできません。また、公証役場は家庭裁判所とは違うので夫婦の話し合いに仲裁をする訳ではありませんし、一方の味方につき優位な作成方法を教えてくれる場所でもありません。

 

②公証役場と打ち合わせ

公正証書作成についての打ち合わせを公証役場とします。法的に有効でない条項は載せることが出来ないためチェックが入ります。もちろん、公証人は中立の立場ですので「〇〇を付けておいた方がいいですよ」等の具体的なアドバイスはありません。

③必要書類の準備

□夫婦で公証役場に行く場合

・運転免許やパスポート等の写真付き公的証明書

・印鑑(認印可)

※写真付き公的証明書がない場合は印鑑登録証明書(3か月以内に発行されたもの)及び実印が必要になります。実印がない場合でも登録する必要があります。

 

□夫婦のいずれかが代理人を立てる場合

・実印が押された委任状

・印鑑登録証明書(3か月以内に発行されたもの)

・代理人の運転免許証やパスポート等の写真付き公的証明書

※一人の代理人が夫婦双方の代理人になることは出来ません。又、夫が妻の代理人、妻が夫の代理人になるような事も出来ません。

 

□財産分与に不動産がある場合

・登記簿謄本

・未登記の場合は面積や構造が分かる実測図面等

・固定資産評価証明書又は納税通知書

 

□財産分与に預金、保険、株がある場合

・通帳、保険証券、株券などの証券証書のコピー

 

④申し込み予約

必要な書類が集まったら公証役場にファックス等で送ります。また、条項案も決まったら作成日時の予約をする事になります。

 

⑤公正証書の受け取り

予約日に役場で最終確認をする事になります。夫婦で出頭又は、代理人を立てた場合は代理人が行くことになります。公正証書の原本は役場に保管され、謄本や正本は必要な時はその場で発行され貰えます。代理人が作成した場合は、本人に通知されることになっています。

 

⑥手数料の支払い

一括払いの慰謝料についてはその金額に、分割払いの慰謝料については10年分の金額に応じて手数料が計算されます。例えば、慰謝料500万円だと1万1千円、子ども二人の養育費を毎月3万円の10年分だとすると360万円になるので、これも1万1千円、合計2万2千円になるということです。下記の表を参考にしてください。

 

目的の価格 手数料額
100万円まで 5,000円
200万円まで 7,000円
500万円まで 1万1,000円
1000万円まで 1万7,000円
3000万円まで 2万3,000円
5000万円まで 2万9,000円
1億円まで 4万3,000円
1億円を超える場合 段階的に加算

 

⑦離婚届の提出

離婚の公正証書を作成したら離婚の届出を役所に提出します。実は、離婚の届出を提出した後に公正証書を作成する事も出来ます。しかし、離婚後に公正証書を作成する場合は、慰謝料等を払う側が応じない可能性も出てきます。ですので、多くの人は離婚公正証書を作成した後に離婚届を出すことになります。

 

公正証書に記載する条項とは

離婚公正証書には、夫婦で取り決めた事(上記①にあたる)を具体的に記載していくことになります。ただ、夫婦によっては話し合う内容も違うこともあります。離婚協議する時には、何を話し合って決めるのか事前に洗い出しておくようにしましょう。一般的に夫婦で決める事を説明していきます。

 

親権者(監護権)をどちらにするのか

未成年の子どもがいる場合は父母どちらかが親権者にならなければなりません。夫婦が合意した場合は親権者と監護者を別々にすることもできます。ただ、仲が悪い為に離婚するのに、子どもの事で話し合う事が増えることが懸念され運用は難しいかもしれません。ですので、父母一方が親権者と監護者になる事がほとんどです。この親権者は離婚届を出すときにも定めておかなければならないので必ず決めておきましょう。

養育費を決める

未成年の子供や未成熟子(経済的に自立できない子※成人含む)が居る場合は、監護養育に必要な費用の負担を決めます。基本的には月払いですが、一括払いの場合もあります。養育費は長い期間にわたりますので、父母の経済事情や、再婚などにより生活環境が変わることも想定されます。その場合は、父母協議の他に、家庭裁判所の調停などを利用して養育費の条件を変更する事が可能です。協議で養育費を変更する場合は、これもまた公正証書を利用する事になるでしょう。

 

養育費の他に、病気や進学により特別の出費をする事があります。これらは養育費には含まれませんので父母で協議し定めた金額を支払う事になります。

 

面会交流の頻度

親権者ではない父母が子どもと交流することです。大体月に1回から2回で、多くても週に1回程度になるでしょう。また、状況によっては子どもと会わせたくないと考えている人がいますが、面会を拒否する事は出来ません。ただし、相手に会うことによって子どもの福祉にとって害がある場合は制限をすることが出来ます。また、面会交流させないなら養育費は払わないとの事も出来ません。

 

財産分与について

婚姻期間中(別居期間は除く)に夫婦で作った財産は、離婚時に分割して清算します。基本的には半分ずつですが、状況によっては割合を変更しても構いません。家や車を購入した場合はローンが残っているかもしれませんが、そのようなマイナスの財産も含まれます。現金の分割は方法が容易ですが、不動産になると難しくなります。金融機関とどのような契約をしているのか等で変わってくると思うので、金融機関に問い合わせて検討が必要です。

 

年金分割

婚姻期間中の厚生年金も半分ずつ分けることが出来ます。これを離婚時年金分割と言って、厚生年金保険法で決められています。離婚したときに貰えるお金ではなく、年金を貰う時に反映されるということです。通常であれば離婚の成立後、夫婦であった二人が年金事務所に出向き手続きを行います。しかし、公正証書にしておくと、離婚成立後に一報側だけでも年金分割の手続きを行うことが出来ます。ぜひ、年金分割についても公正証書に盛り込むようにしましょう。

 

慰謝料

夫婦一方に離婚原因がある場合は、離婚の原因を作ったほうが有責配偶者となります。有責配偶者は、一方の配偶者に慰謝料を支払うことになります。夫婦の話し合いで慰謝料の額や支配方法は決められますが、相場は大体200~300万円と言われます。もちろん、経済力があるのであれば500万円など取り決めてもいいでしょう。ちなみに慰謝料については養育費とは違い、生活環境が変わったからと言い減額等はありません。

 

その他に決める事項

婚姻費用や借金の清算をします。これらの事も離婚契約で行うことができ、公正証書に定めてもいいかもしれません。具体的な金額は家庭裁判所で使われる養育費婚姻費算定表を参考にしてみてください。あと、よくあるのが、財産分与によって所有者ではない方が離婚後も住み続けるというケースです。例えば、元妻が子どもの親権者となり、子どもの事を考えてそのまま住み、元夫が所有者だけど出ていく場合です。その場合は無償で貸す場合もあれば、家賃として元夫に支払うという事も出来ます。

 

公正証書作成で気を付ける事

多くの人が協議離婚を選択しますので、口約束のみで後日トラブルが起きるという事があります。その後日トラブルを避ける為に、離婚協議書を作成される方もいますが、離婚公正証書とは違い、私文書になります。立派な証拠の一つにはなるのですが、強制執行をすぐに行うことができないので裁判を起こして債務名義を確定させなければなりません。そうなると時間もかかりますし、弁護士を雇えば弁護士費用もかかります。離婚協議書のメリットは役場や必要書類を集めなくていいという「すぐに出来る」という分、デメリットもあるのです。(参考:福岡の離婚協議書作成ならお任せ下さい

 

一方で離婚公正証書は強い証拠力や強制執行が出来るのですが、必要書類を集めたり、公証人との打ち合わせが必要だったりと手間や手数料がかかってしまいます。しかし、後日トラブルを限りなく0にする為には公正証書の作成が望ましいのです。

 

強制執行認諾条項を入れよう

何度も離婚公正証書は強制執行が出来るので便利だと言ってきましたが、強制執行認諾条項がなければ強制執行をする事が出来ません。万が一、この条項を入れ忘れたら意味がないので間違いなく条項に盛り込むようにしてください。

 

自分一人で公正証書を作りたい

前述にサラっと書きましたが自分だけで公正証書を作成する事は出来ません。あくまでも二人で話し合って合意した結果を公正証書という書面にするというシステムです。

 

また、自分達で調べて公正証書を作成したいと考えている人もいるでしょう。公正証書にする事自体が難しい事はありませんし、ネット上にひな型もダウンロードできます。ただ、ひな型とは違う条件を決めたかったり、知らずに損をする事もあるかもしれません。そのような時は専門家である行政書士にサポートしてもらったほうが、よりいい公正証書を作成する事が出来ます。一生に一回の事ですので費用を出してもサポートしてもらったほうが安心だと思います。

 

公正証書が出来る期間

公正証書へ申し込みをしてから1週間から2週間くらい見ておく必要があるでしょう。公証人が多いわけではないので忙しいときはもう少しかかるかもしれません。

 

福岡の公証役場の場所

福岡公証役場 福岡市中央区舞鶴3-7-13-3F 092-741-0310
博多公証役場 福岡市博多区博多駅前3-25-24-3F 092-400-2560

受付時間は月曜から金曜(祝日・年末年始を除く)午前9時から11時、13時~15時となります。受付時間は限られていますので注意が必要です。

 

公正証書離婚のサポート

公正証書を作成して離婚をしたいと思われている方は少なくないでしょう。実際にまだ何も決まっていないという方もいるかもしれません。公正証書契約をする時は、これでいいのかな?と悩んでしまう事もあるかと思います。そのような時に、弊所の行政書士が公正証書になる原案を作成する事も出来ます。また、公証人との打ち合わせも含み代行する事も可能です。「分からなくて不安だ。」「忙しくて役場に行くことができない」という場合は弊所がサポートする事が出来ます。

公正証書離婚サポートの料金

 

公正証書の原案作成 55,000円(税込み)
公正証書作成フルサポート(役場調整含む) 77,000円
公正証書代理人作成(一人) +33,000円

基本的には2か月のサポート期間となります。長期間のサポートが必要な場合は別途ご相談ください。

 

【公正証書の原案作成プラン】

・公正証書の原案作成

・公正証書の原案に関しての相談(養育費や慰謝料についてなど)

・公正役場の申し込みの相談

 

【公正証書作成フルサポートプラン】

・公正証書の原案作成プランの全て

・公正役場への申し込み手続き

・公証人との打ち合わせ

 

【公正証書代理人作成】

公正証書代理人作成とは夫婦の一方が公証役場に行く事が難しい場合、弊所の行政書士が代理人として出頭するということです。その場合は必要書類が増えますので問い合わせてご相談ください。