調停が成立したら、成立した内容を家庭裁判所の調停調書に記載され確定判決と同一の効力を有します。ただ、人によっては調停が成立したとしても慰謝料を支払わないということも十分に有りえますし、実際によくある事なのです。その時に利用するものとして「履行勧告」「履行命令」「強制執行」の3つがあります。
履行勧告とは一昔前は簡単な定めしかありませんでしたが、今は、家事事件手続法で調査の方法が詳細に定められました。家事事件手続法289条5項には、調査を官庁、公署その他適当と認める者に嘱託し、又は銀行、信託会社、関係人の使用者その他の者に対し関係人の預金、信託財産、収入その他の事項に関して必要な報告を求めることができると定められています。ただ、履行勧告は簡単に無料で手続きができるメリットはありますが、相手側が勧告に応じないからといって罰則がある訳でもないので、実効性があまりないとも言えます。
履行命令とは家庭裁判所が履行しなさいと命令することで、履行勧告と似てはいます。履行勧告と大きく違うところは履行命令に従わない場合、10万円以下の過料という制裁があることです。履行勧告に比べると手続きが面倒なこと、費用がかかることなどデメリット部分が多いです。10万円以下の過料は申立人が貰える訳ではないので、相手方が支払わない場合は何ら意味がありません。
強制執行とは文字通り強制的に執行するということです。履行勧告や履行命令と大きく違うことは履行しないという相手方の意思に関係なく、履行を強制する事ができます。非常に強力なものですから、履行勧告と命令に比べたら手間や費用がかかります。弁護士に依頼するほうが早いかもしれませんが、強制執行したい額によっては弁護士費用が高いということにもなりかねません。慎重に検討し財産があるかどうかも調べておきましょう。