成年被後見人と被保佐人等とは?

成年被後見人と被保佐人等とは?

制限行為能力者とは「未成年者」「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」を指します。今回は行政書士福岡法務がこの制限行為能力者との契約について説明致します。例えば、未成年者と契約をする場合には法定代理人(親権者など)の同意を得るか、法定代理人が代理して行わなければなりません。なので携帯ショップは未成年者のみが来店した場合は親の同意書を必要とし、親の同意書がない場合は契約をしてくれません。頭がいい人なら気付いたと思いますが、なら小学生がお菓子を買う行為も法律行為だから本来なら親の同意書や、親が代理して行わなければならないのか?と考えてしまうでしょう。これは、決して暗黙の了解で可能となっているという訳ではないので、これから条文を交えながら説明します。

制限行為能力者の具体的な内容

・未成年者とは

説明は不要ですが、民法4条には「年齢二十歳をもって、成年とする。」と明記されています。未成年者の法定代理人は父母である事がほとんどでしょうが、父母がいない場合は未成年後見人というものが選任されます。法定代理人には代理権・同意権・取消権・追認権を有するので、子どもが勝手に車を購入した場合などは親が取り消すことができるのです。

ただ、未成年者でも以下の行為は単独で出来ます。

①単に権利を得、または義務を免れる法律行為。

単に物を貰う行為などがあたり、車を貰う変わりに何かをしなければならないような「負担付贈与」の場合は未成年者単独ですることは出来ません。

②目的を定めて処分が許された財産の処分。

給食費などを子どもに渡して先生に渡すような行為のことです。

③目的を定めずに処分が許された財産の処分。

お小遣いを使う行為のことで、これが法律に定められているから子どもは、お小遣いでお菓子を買っても契約が成立するのです。

④許可を受けた一種または数種の営業に関する行為があります。

未成年者が洋服屋の営業を許可された場合などが当てはまります。そうしなければ、いちいち未成年である店主の保護者に同意を得なければならないという面倒なことが起こるからです。

・成年被後見人とは

成年被後見人とは精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判を受けた者を言います。成年後見人には法人もなることができます。

成年後見人は代理権・取消権・追認権を有しており、成年被後見人の法律行為は原則として、すべて成年被後見人が代理として行うことになります。ただ、成年後見人も日用品の購入その他日常生活に関する行為は単独ですることができ、取り消す事はできません。逆にそれ以外で成年後見人から同意を得て成年被後見人が行った法律行為であっても取り消す事ができます。

・被保佐人とは

被保佐人とは精神上の障害により事理を弁識する能力が著しく不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、保佐開始の審判を受けた者をいいます。保佐人には基本的に同意権・取消権・追認権を有しており、代理権はありません。ただ、本人の請求または同意があれば家庭裁判所は、その審判により、特定の法律行為については保佐人に代理権を付与することができます。

成年被後見人に比べると被保佐人は症状が軽く、原則は単独で法律行為がすることが出来ます。重要な行為のみ保佐人の同意を得ればいいのです。保佐人が被保佐人の利益を害するおそれがないにもかかわらず同意をしないときは、家庭裁判所は被保佐人の請求により保佐人の同意に代わる許可を与えることができます。

・被補助人とは

被補助人とは精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判を受けた者をいいます。補助開始の審判をするには本人以外の者が請求するには本人の同意が必要となります。

被補助人の特定の法律行為をするには補助人の同意を得なければならない旨の審判・代理権付与の審判をしなければなりません。また、本人以外の者からの請求により審判を行う場合には、本人の同意が必要です。

制限行為能力者の契約の取り消し

・制限行為能力者側からによる取り消し

制限行為能力者が保護者の代理や同意が必要な契約を単独でしてしまった場合は、本人または保護者が取り消す事が出来ます。取り消した場合、契約は初めから無効であったものとされるので、契約者双方は物やお金を返還する義務(原状回復義務)があります。制限行為能力者側は現に利益を受けている限度(現存利益)でのみ返還義務を負うことになっています。例えば、未成年者が親の同意を得ずに遊ぶお金欲しさにテレビを5万円で売ったとします。子どもはすぐに5万円を全て遊んで使ったのであれば返金する必要がなく、相手方はテレビを返さなければならないということです。

また、子どもが遊んで使ったのではなく生活費や学費のように、いずれ支払わなければならにような事にお金を使ったのであれば返金しなければなりません。遊んだ金は返さなくていいという不思議な感覚を持ちますが法律はそうなっています。

・相手方からの催告

上で書いたとおり制限行為能力者と契約してしまった場合、いつ取り消しされるか分からないという立場に置かれてしまいます。そこで、契約の相手方又は保護者に対し催告権というものが認められています。ただ、契約の相手方に催告をするとしても制限行為能力者に催告をしても意味がありません。19歳だった制限行為能力者が20歳になって行為能力者となった場合に催告して初めて意味を持ちます。

催告するには行為能力者になった本人又は保護者に対して1ヶ月以上の期間を定めて追認するかどうかを求め、返事がない場合は追認したとみなされます。被保佐人と被補助人に対しては、保佐人または補助人の追認を得てほしいという旨を催告することが出来ますが、返事がない場合は取り消したものとみなされます。もし、催告するのであれば保護者に追認するかどうかを催告したほうがいいでしょう。

・未成年者が成人とウソをついた

制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせる為に詐術を用いたときは、その行為を取り消すことは出来ません。単に制限行為能力者であることを黙っていたのみでは詐術にはあたらず、他の言動とあいまって相手を誤信させ、または誤信を強めたときは詐術に当たります。

なので基本的に18歳くらいの子どもが20歳ですと進んでウソをつき何かを購入した場合は取り消す事ができない可能性も出てくるのです。

行政書士福岡法務のまとめ

制限行為能力者のことについて書きましたが、私は行政書士になるまでは詳しくは知りませんでした。未成年は契約するとき親の同意が必要くらいは何となく知っていましたが、法律的に明文化されていることも知りませんでしたし、詐術を用いた場合は取り消しができないということも知りませんでした。後見人制度は高齢化が進み注目されているようですが、その他にも家族信託なる制度もあります。そのような後見人の相談、家族信託については行政書士福岡法務まで相談下さい。