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定住者ビザとは
定住者ビザは、法務大臣が特別な状況を考慮し、一定期間の滞在を許可することを目的としたビザです。定住者ビザに関しては、規定が緻密であるため、正確な理解を持っていない方が多いと感じられます。日本での生活を求めている方でさえ、定住者ビザの詳細を知らず、帰国せざるを得ない状況や、ビザの更新ができないで苦しむことがあるのです。
定住者ビザ取得プロセスは、通常、「定住者告示」の調査から始められます。しかし、定住者告示に該当しない場合であっても、まだ希望があります。許可要件は少し厳格になりますが、告示外定住という制度が存在します。したがって、定住者告示に該当しない状況でも、定住者ビザを取得する可能性はあります。
告示定住、および告示外定住に関しては、法令、入管局長の通達、定住通達、審査基準の理解が必要です。これにより、専門家でも能力に大きな違いが生じることがあります。
定住者告示に該当する方
改正された出入国管理及び難民認定法(以下「法」といいます)によって、一部の国々から来る人々に対して定住者の地位が与えられることが定められています。対象国は以下の通りです。
1.インド、インドネシア、カンボジア、シンガポール、スリランカ、タイ、大韓民国、中華人民共和国、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、東ティモール、フィリピン、ブータン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、モルディブ、モンゴル、ラオス。対象となるのは、これらの国に一時滞在している人々で、国際連合難民高等弁務官事務所によって国際的な保護が必要だと認められ、日本に対して保護を推薦される人々です。以下の条件に該当する場合、定住者の地位が与えられます。・日本社会に適応できる能力があり、生活を営むに足りる職に就くことが見込まれる人、その配偶者またはこれらの者の子、父母、未婚の兄弟姉妹。
・上記1の地位を持つ人が日本に滞在している間、一時滞在国にいる親族で、親族間で相互扶助が可能である人
2.日本人の子として出生した実子(ただし、素行が善良であることが条件)で、第一号または第八号に該当しない人。
3.日本人の子として出生し、かつて日本国籍を持っていた者の実子の実子(素行が善良であることが条件、第一号、第三号、第八号に該当しない者)
4.以下のいずれかに該当する者(第一号から第四号まで、第八号に該当しない者)。
・日本人の配偶者等の在留資格を持ち、日本人の子として出生した者の配偶者。
・一年以上の在留期間を指定された定住者の在留資格を持つ者の配偶者(ただし、離婚している場合は除く)。
・一年以上の在留期間を指定された定住者の在留資格を持つ者で素行が善良な配偶者(ただし、離婚している場合は除く)
5.以下のいずれかに該当する者(第一号から第四号まで、第八号に該当しない者)。
・日本人、永住者の在留資格を持つ者、特別永住者の未成年で未婚の実子。
・一年以上の在留期間を指定された定住者の在留資格を持つ者の未成年で未婚の実子(ただし、離婚している場合は除く)。
・一年以上の在留期間を指定された定住者の在留資格を持つ者で素行が善良な未成年で未婚の実子(ただし、離婚している場合は除く)。
・日本人、永住者の在留資格をもって在留する者、特別永住者又は一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者の配偶者で日本人の配偶者等又は永住者の配偶者等の在留資格をもって在留するものの扶養を受けて生活するこれらの者の未成年で未婚の実子
6.次のいずれかに該当する者の扶養を受けて生活するこれらの者の六歳未満の養子(第一号から第四号まで、前号又 は次号に該当する者を除く。)に係るもの
イ日本人
ロ永住者の在留資格をもって在留する者
ハ一年以上の在留期間を指定されている定住者の在留資格をもって在留する者
ニ特別永住者
7.次のいずれかに該当する者に係るもの
イ中国の地域における昭和二十年八月九日以後の混乱等の状況の下で本邦に引き揚げることなく同年九月二日以前 から引き続き中国の地域に居住している者であって同日において日本国民として本邦に本籍を有していたもの
ロ前記イを両親として昭和二十年九月三日以後中国の地域で出生し、引き続き中国の地域に居住している者
ハ中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法 律施行規則(平成六年厚生省令第六十三号)第一条第一号若しくは第二号又は第二条第一号若しくは第二号に該当 する者
ニ中国残留邦人等の円滑な帰国の促進並びに永住帰国した中国残留邦人等及び特定配偶者の自立の支援に関する法 律(平成六年法律第三十号)第二条第一項に規定する中国残留邦人等であって同条第四項に規定する永住帰国によ り本邦に在留する者(以下「永住帰国中国残留邦人等」という。)と本邦で生活を共にするために本邦に入国する 当該永住帰国中国残留邦人等の親族であって次のいずれかに該当するもの
(i)配偶者
(ii)十八歳未満の実子
(iii)日常生活又は社会生活に相当程度の障害がある実子(配偶者のないものに限る。)であって当該永住帰国中国残留邦人等又はその配偶者の扶養を受けているもの
(iv)実子であって当該永住帰国中国残留邦人等(五十五歳以上であるもの又は日常生活若しくは社会生活に相当程度の障害があるものに限る。)の永住帰国後の早期の自立の促進及び生活の安定のために必要な扶養を行うため本邦で生活を共にすることが最も適当である者として当該永住帰国中国残留邦人等から申出のあったもの
(v)前記(iv)に規定する者の配偶者
告示外定住に該当する方
離婚定住 | 日本人、永住者又は特別永住者である配偶者と離婚後引き続き本邦に在留を希望する者 |
死別定住 | 日本人、永住者又は特別永住者である配偶者が死亡した後引き続き本邦に在留を希望する者 |
日本人実子扶養定住 | 日本人の実子を監護・養育する者 |
婚姻破綻定住 | 日本人、永住者又は特別永住者との婚姻が事実上破綻し、引き続き在留を希望する者 |
特別養子離縁定住 | 特別養子の離縁により「日本人の配偶者等」の在留資格該当性がなくなった者 |
難民不認定定住 | 難民の認定をしない処分(以下、「難民不認定処分」という。)後、特別な事情を考慮して在留資格「特定活動」により、1年の在留期間の決定を受けた者で、在留資格「定住者」への在留資格変更許可申請を行ったもの |
※定住者告示外の定住者は、在留資格変更許可又は更新しかできません。
※短期滞在から変更許可を申請する場合は、短期滞在90日が付与されている必要があります。
告示外定住ビザの取得要件
告示外の在留資格になりますので具体的な要件はありませんが、下記の要件は最低限満たす必要があります。
- 独立の生計を営むに足りる資産または技能を有すること。
- 在留を認めるべき特別な事情を有すること。
告示内定住者ビザに必要な書類
クリックして必要書類をチェックしましょう。
告示外定住に必要書類
必要書類 |
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在留資格変更許可申請書 |
写真(縦4cm×横3cm) |
理由書 |
住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書 |
在職証明書、資産を証明できるもの |
身元保証人の住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書 |
身元保証人の在職証明書、源泉徴収票 |
離婚証明書、離婚を証明する戸籍謄本 |
パスポート 提示 |
在留カード 提示 |
上記の書類を出せば必ずとれるのか
答えは取れるとは限りません。上記は法定書類であり、他に任意で別の書類を提出する必要があります。
あくまでも上記書類がなければ、窓口で受理さえされないという最低限の書類になります。
「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」から「定住者」への在留資格変更許可の事例
日本人、永住者、または特別永住者の配偶者として、「日本人の配偶者等」または「永住者の配偶者等」の在留資格で滞在する外国人について、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」といいます)では、同法第22条の4第1項第7号に記載される事実(配偶者としての活動を6か月以上続けずに滞在していること(正当な理由がある場合を除く))が判明した場合、在留資格の取消が検討されます。ただし、入管法第22条の5により、在留資格変更許可申請や永住許可申請の機会が与えられることが配慮されています。
在留資格変更許可申請については、適切な理由がある場合に限り許可されるものとされており(入管法第20条)、この理由の判断は、法務大臣から権限を委任された地方入国管理局長の裁量に委ねられています。外国人の予定する活動、滞在状況、滞在の必要性などを総合的に考慮して判断が行われます。
「定住者」への在留資格変更許可が認められた事例
事例 | 性別 | 本邦在留期間 | 前配偶者 | 前配偶者との婚姻期間 | 死別・離婚の別 | 前配偶者との間の実子の有無 | 特記事項 |
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1 | 女性 | 約6年 | 日本人(男性) | 約6年6か月 | 離婚 | 日本人実子 | 親権者は申請人 日本人実子の監護・養育実績あり 訪問介護員として一定の収入あり |
2 | 女性 | 約5年1か月 | 日本人(男性) | 約3年 | 事実上の破綻 | 無 | 前配偶者による家庭内暴力が原因で婚姻関係が事実上破綻 離婚手続は具体的に執られていない状況にあったものの,現に別居し双方が離婚の意思を明確に示していた 看護助手として一定の収入あり |
3 | 男性 | 約13年8か月 | 特別永住者(女性) | 約6年1か月 | 死別 | 無 | 金属溶接業経営を継続する必要あり 金属溶接業経営により一定の収入あり |
4 | 女性 | 約8年1か月 | 日本人(男性) | 約4年5か月 | 離婚 | 日本人実子 | 前配偶者による家庭内暴力が原因で離婚 前配偶者による家庭内暴力により外傷後ストレス障害を発症 親権者は申請人 日本人実子の監護・養育実績あり |
5 | 女性 | 約10年5か月 | 日本人(男性) | 約11年5か月 | 事実上の破綻 | 無 | 配偶者による家庭内暴力が原因で通算8年以上別居(同居期間は通算約2年) 配偶者が申請人との連絡を拒否 離婚手続を進めるため弁護士に相談 |
6 | 女性 | 約8年8か月 | 永住者(男性) | 約6年 | 事実上の破綻 | 外国人(永住者)実子 | 配偶者による家庭内暴力が原因で3年以上別居 子の親権に争いがあり離婚調停不成立,離婚訴訟準備中 |
7 | 男性 | 約8年3か月 | 日本人(女性) | 約7年9か月 | 離婚 | 日本人実子 | 日本人実子に対して毎月3万円の養育費の支払いを継続 会社員として一定の収入あり 親権者は前配偶者 |
「定住者」への在留資格変更許可が認められなかった事例
番号 | 性別 | 本邦在留期間 | 前配偶者 | 前配偶者との婚姻期間 | 死別・離婚の別 | 前配偶者との間の実子の有無 | 事案の概要 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 男性 | 約4年10か月 | 日本人(女性) | 約3年 | 離婚 | 日本人実子 | 詐欺及び傷害の罪により有罪判決 親権者は前配偶者 |
2 | 男性 | 約4年1か月 | 永住者(女性) | 約3年11か月 | 事実上の破綻 | 無 | 単身で約1年9か月にわたり本邦外で滞在 |
3 | 女性 | 約4年1か月 | 日本人(男性) | 約3年10か月 | 死亡 | 無 | 単身で約1年6か月にわたり本邦外で滞在 本邦在留中も前配偶者と別居し風俗店で稼働 |
4 | 女性 | 約3年4か月 | 日本人(男性) | 約1年11か月 | 離婚 | 無 | 前配偶者の家庭内暴力による被害を申し立てた2回目の離婚 初回の離婚時に前配偶者による家庭内暴力を受けていたとして保護を求めていたが,間もなく前配偶者と再婚 前配偶者との婚姻期間は離再婚を繰り返していた時期を含め約1年11か月 |
5 | 女性 | 約4か月 | 日本人(男性) | 約3か月 | 離婚 | 無 | 前配偶者の家庭内暴力による被害を申し立てて申請 婚姻同居期間は3か月未満 |
6 | 女性 | 約3年3か月 | 日本人(男性) | 約2年1か月 | 離婚 | 無 | 前配偶者の家庭内暴力による被害を申し立てて申請 日本語学校に通うとして配偶者と別居したが,風俗店に在籍していたことが確認されたもの 婚姻の実体があったといえるのは,約1年3か月 |
行政書士に依頼しよう
行政書士に依頼すると以下のようなメリットがあります。
- 専門知識と経験: 行政書士は、法律や手続きに関する専門知識を持っており、経験豊富です。そのため、適切なアドバイスやサポートが受けられます。
- 節約できる時間: 在留資格の申請には多くの書類が必要で、手続きも複雑です。行政書士に依頼することで、自分で調べたり書類を作成する時間を節約できます。
- 高い成功率: 行政書士は、申請書類の作成や提出の仕方を熟知しているため、ミスが減り、成功率が高くなります。
- 迅速な手続き: 行政書士は、在留資格の申請に関する手続きをスムーズに進めることができます。これにより、申請が早期に完了する可能性が高まります。
- トラブルの回避: 行政書士は、申請に関するトラブルや問題を事前に予測し、回避することができます。これにより、安心して申請手続きを進めることができます。
- 更新や変更手続きのサポート: 在留資格を取得後も、更新や変更手続きが必要な場合があります。行政書士は、そのような手続きにも対応してくれます。
総合的に見ると、行政書士に在留資格の申請を依頼することで、手続きがスムーズに進み、時間や労力を節約できるとともに、トラブルを回避し、成功率を高めることが期待できます。そのため、素人の人にとっては、行政書士に依頼するメリットが大きいと言えます。
弊所の依頼費用
通常プラン | 100,000円 |
取次申請プラン | 150,000円 |
一度不許可になったケース | +50,000円 |
以上の費用になりますので、結果を重視される方は早めに問い合わせ下さい。業務がいっぱいになり次第、お断りすることがあります。
対応地域
この在留資格は全国対応となります。
ZOOM等のオンライン対応可、来所可能な方は直接面談も行います。